経済的自由への道blog

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【徹底解説】確定拠出年金のメリットとシミュレーション!掛金額別税金メリットを試算してみた

確定拠出年金(DC・ideco)の改正が発表されて良改正だの改悪だのいろいろ議論が湧きおこっていますね。

本日はサラリーマンである私の一意見として、やるべきか?やらざるべきか?について書いていきます。

かなり長文になってしまいましたので、忙しい方は結論とまとめだけ読んでください。

結論

最終的なメリットは計算しずらいが、やるメリットは確実にある。今の生活を犠牲にしてまで行う必要性までは無いが、余裕があるのならやるべき。

 

確定拠出年金のメリット

1. 税制優遇がある

・掛金が全額所得控除の対象となるため、所得税・住民税が軽減される。

・運用益も非課税で再投資されるため、効率的に資産を増やせる。

・受け取り時も退職所得控除や公的年金等控除が適用される場合がある。

2. 自分で運用先を選べる

・投資信託や定期預金など、自分のリスク許容度に応じた運用が可能。

・長期投資に向いており、複利効果を活かして資産を増やしやすい。

3. 転職・退職時も資産を持ち運べる

・企業型DCから個人型DC(iDeCo)に移管できるため、勤務先が変わっても資産を継続して運用できる。

・途中解約はできないが、その分、老後資産として確実に積み立てられる。

4. 老後資金を計画的に準備できる

・毎月コツコツと積み立てることで、無理なく長期的に資産形成が可能。

・公的年金だけでは不足しがちな老後資金を補う手段となる。

5. 企業型DCなら会社のサポートが受けられる

・企業が掛金を拠出してくれるため、自分の負担なしで老後資金を形成できる。

・企業によってはマッチング拠出(従業員も追加で拠出できる制度)を利用できる。

確定拠出年金は、節税メリットや資産形成の自由度が高い反面、自己責任で運用する必要がある点も考慮が必要。

 

確定拠出年金のデメリット

1. 60歳まで原則引き出せない

・積み立てた資産は老後資金として確保されるため、途中で引き出すことができない。 ・急な出費が必要になっても使えないため、流動性が低い。

2. 運用リスクがある

・自分で運用商品を選ぶため、投資の知識がないと損をする可能性がある。

・市場の変動によって資産価値が下がるリスクがある。

3. 手数料がかかる

・口座管理手数料や運用商品の信託報酬など、一定のコストが発生する。

・特にiDeCo(個人型確定拠出年金)は、加入時・運用中・受取時にさまざまな手数料がかかる。

4. 受け取り時の税金に注意が必要

・一時金で受け取る場合は「退職所得控除」、年金で受け取る場合は「公的年金等控除」が適用されるが、受け取り方によっては税負担が発生することもある。

・他の退職金や年金と合算されると、想定以上の税金がかかる可能性がある。

5. 元本確保型では増えにくい

・元本確保型(定期預金や保険など)を選ぶと、運用リターンがほぼゼロに近い。

・物価上昇(インフレ)が進むと、実質的に資産価値が目減りするリスクがある。

確定拠出年金は長期の資産形成に適した制度ですが、リスク管理や税制の知識も必要になる点がデメリットとして挙げられます。

 

改正の概要

1. 企業型DCにおけるマッチング拠出要件の緩和(2024年12月施行)

これまで、企業型DCの加入者が自身で拠出する「マッチング拠出」の額は、事業主が拠出する額を超えてはならないとされていました。しかし、2024年12月の改正により、この制限が撤廃され、加入者は事業主拠出額を超える金額を拠出できるようになりました。

2. iDeCoの掛金上限額の引き上げ(2024年12月施行)

企業年金(確定給付企業年金や共済など)に加入している方のiDeCoの掛金上限額が、月額12,000円から20,000円に引き上げられました。ただし、iDeCoと企業年金の掛金合計が月額55,000円を超えない範囲での拠出となります。

3. iDeCo加入手続きの簡素化(2024年12月施行)

これまでは、iDeCo加入時に勤務先から「事業主証明書」を取得する必要がありましたが、2024年12月以降、個人口座から掛金を拠出する場合、この手続きが不要となりました。これにより、加入手続きがより簡便になりました。

4. 受給開始時期の上限引き上げ(2022年4月施行)

確定拠出年金の老齢給付金の受給開始時期の上限が、これまでの60歳から75歳まで引き上げられました。これにより、ライフプランに合わせて柔軟に受給開始時期を選択できるようになりました。

5. 加入可能年齢の拡大(2022年5月施行)

企業型DCおよびiDeCoの加入可能年齢が拡大され、企業型DCは65歳未満、iDeCoは自営業者や専業主婦(夫)は60歳未満、会社員・公務員などは65歳未満まで加入できるようになりました。これにより、より多くの方が確定拠出年金を活用できるようになりました。

これらの改正により、確定拠出年金制度はより柔軟で利用しやすくなっています。

 

改悪の概要

確定拠出年金(DC)やiDeCoの一時金受取と退職金の受取に関する税制上の「5年ルール」が、2026年1月1日以降、「10年ルール」に変更されます。

この改正により、DCやiDeCoの一時金を受け取った後、10年間は退職所得控除の適用に制限が生じる可能性があります。

具体的には、60歳でDCやiDeCoの一時金を受け取った場合、70歳までに受け取る退職金に対しては、退職所得控除が減額される可能性があります。



日本人の平均給与額からシミュレーションしてみた

所得控除メリット額

日本人の平均年収は国税庁が発表した「令和4年分民間給与実態調査」によると2022年の平均給与は458万円です。

これから各種控除、社会保険料を引いた課税対象額によって税率がかわります。

平均給与458万円から想定すると課税対象額は208万円程度になり所得税が10%、住民税が10%となります。

詳細に計算するならば以下のideco公式シュミレーションがありますので一度ためされることをお薦めします。

【公式】かんたん税制優遇シミュレーション|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】

※実際には掛金が全額所得控除されますので掛金によって所得税率が変わりますが、以下のシュミレーションは簡素化して10%で計算します。

単純に掛金の20%が税金免除となります。

(例)掛金20,000円/月✕12ヵ月✕20年=480万円

   控除額 480万円✕20%=96万円

20%もの利率と考えれれば、かなり税制優遇があります。

※単利でも複利でもなく、掛金の20%という点は注意が必要です。

 

複利運用した場合の受取額(税引き前)

次に掛け金を複利運用した場合の受取額を計算します。

ここでは安全資産に比重を高くして利率3%として考えます。

シミュレーションは以下の楽天証券を使用しました。

積立シミュレーション | 楽天証券

3%でも複利運用の凄さが分かります。

先の例と同じ条件で考えると以下の通りとなります。

(例)掛金20,000円/月✕12ヵ月✕20年=480万円

   最終積立金額 約656万円(利益約176万円)

 

受取時に掛かる税金額

次に受取時に掛かる税金を計算します。

ここではメリットの高い一時受取を想定しました。受取は年金受取も選択できますが通常一時受取の方がメリットがあります。

ここで一番の難問があります。

それは一時受取時の退職所得控除額の違いです。

上記の改悪ポイントでも上げましたように、退職所得控除をフルに使える人は限られます。

自営業者やフリーランスの方はそもそも退職金が無いとして退職所得控除が満額適用されますが、サラリーマンで企業から退職金が支給される場合は満額しようできません。

ここでは退職所得控除を満額使用できる場合(フリーランス)とゼロの場合(会社員)を想定します。

なお退職所得控除と所得税は以下の通りとします。

 

掛金別一括受取時支払い税金額(フリーランス)


掛金別一括受取時支払い税金額(会社員)

退職所得控除をフルに使えるフリーランスが圧倒的有利です。

一方全く退職所得控除を使えない会社員でも金額の50%が対象の恩恵はあります。

 

一括受取時税額控除(メリット)合計額

先にあげた月々の所得控除メリットと一括受取時に掛かる税金額を合算してみます。

 

フリーランスの場合(退職所得控除をフルに使える場合)

 

会社員の場合(退職所得控除がゼロの場合)

退職所得控除が使えない場合はなんと、毎月の所得控除額より最終的に受け取る場合の税金の方が高くなり、税制面でいえばデメリットになりました。

これだけ見れば確定拠出年金は退職金のない自営業・フリーランスの為のもので、退職金のでる会社員にとってメリットが無いようになります。

このグラフをみて「やっぱり確定拠出年金はやる必要は無い」と決めつけるのは待ってください。

通常投資信託などを特定口座で運用した場合は利益に対して20%の税金がかかります。

次に特定口座運用時との比較を行います。

 

特定口座運用時との税金メリット額比較

特定口座運用時との税金メリット比較(フリーランスの場合)

フリーランスの場合月額5万円積立、年利3%運用した場合、特定口座運用時と比較すると400万円以上のメリットがあります。

 

特定口座運用時との税金メリット比較(会社員の場合)

フリーランスの場合と比べるとかなりメリット額は縮小しますが、それでも月額5万円積立、年利3%運用した場合、特定口座運用時と比較すると160万円以上のメリットがあります。

結果、特定口座で資産運用するぐらいななら、確定拠出年金で運用した方がメリットはあるとなります。

確定拠出年金のメリットの計算を難しくしている点

ここまでシミュレーションをしてきて思ったのは前提条件が人によって千差万別で想定しずら言う点です。

ざっくり不確定要素は以下の通りとなります。

・退職金、退職所得控除が想定しにくい。

 退職時、退職間近になればある程度計算できかも知れませんが、退職まで20年も30年もある段階で計算することはほぼ不可能です。

・退職金を受け取る時期は決められない。

 多くのサラリーマンは自分で退職金受取時期を決めることは出来ません。会社が指定した時期に支払われます。それも今後変わっていく可能性は十分にあります。

・税制変更の可能性がある

 受取時までに税制変更が無いとは思えません。今でも103万円の壁撤廃や転職市場の活性化により退職金減税の在り方が議論されていたり、少子高齢化による増税など税制変更はきっと行われるでしょう。

・一時受取は累進課税

 現在の退職金受取は総合課税で累進課税制度です。多く受け取れば多く支払う必要があります。NISAのように非課税や特定口座のように一律20%では無い点が支払額想定を更に難しくしています。

・利回り自体が不確定

 今回は想定利回りを3%と設定しましたが、資産運用自体が不確定要素たっぷりです。マイナスになる年もあれば、2024年のS&Pのように年利20%で成長する年もあります。

・毎年の税額も変わっていく

 通常サラリーマンは年々所得が増えていくと考えます。微々たるものかも知れませんが。先にも書いたように日本は累進課税でその年の税金額も変わっていきます。したがってメリットである所得控除により税制優遇も元の所得によって変動します。

・一度に大金を支払う心理的負担がある

 不確定要素とは異なりますが、確定拠出年金制度自体が月々の支払い税制を優遇する代わりに最後に多く貰ったなら多く支払ってもらいますよという「税金の先送り制度」です。メリットがあると分かっていても一度に大金を支払う心理的負担は結構大きいと思っています。



さいごに(まとめ)

以上かなり長文のブログ記事になりました。

自分でもここまでシミュレーションなどやるとは思っていませんでしたが、正直趣味というか、計算やグラフにするのが嫌いでは無いのでできたと思っています。

 

でもここまでやって思ったのは、確定拠出年金を行ってほぼ損は無いという事です。

では最後にまとめます。

結論は冒頭でも書いていますが、

最終的なメリットは計算しずらいが、やるメリットは確実にある。今の生活を犠牲にしてまで行う必要性までは無いが、余裕があるのならやるべき。

となります。

 

付け加えるなら

退職金のないフリーランスの方は

確定拠出年金>NISA>特定口座

の順で資産運用を

退職金がある会社員の方はは

NISA>確定拠出年金>特定口座

の順で資産運用を行うのが良いと考えます。

 

ただし60歳までは原則引き出せないので、あくまで余裕資金です。

確定拠出年金したばかりに、日々の生活を圧迫することの無いように。

思い出は後から買えないので、今しかできない事にお金を使うのもしっかりした人生の資産運用ですから。

 

ではではこの辺で。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。